愛読本

千円札は拾うな。 読書備忘録①

父の愛読書の一つ。今となっては私の愛読書の一つ。

この本はいわゆるビジネス本である。物事の本質を見抜く力を養うことができる。

文字のサイズも構成も読みやすく、私の読書人生のスタートを切ったのはこの本である。

2駅しかない電車の中で読み始め、そのまま家まで本から顔が離せないくらいにのめりこんで読んだことを覚えている。

「千円札は拾うな。」

著者:安田佳生 (株式会社ワイキューブ代表) 2006年出版

目の前に落ちている「千円札」あなたは素通りできますか?

「常識とは、十八歳までに身につけた偏見のコレクションのことをいう」/アインシュタイン

この言葉から本書はスタートする。「常識を疑え」というのがテーマである。

成長とは変化することである。変化するとは、何かを「捨てる」ことに他ならない。

トンボが「飛ぶ」という能力を手に入れる代わりに、ヤゴが持っている「泳ぐ」という能力を捨てるように。

著者は二十五歳で会社を作ったが、思い返すと意識的に、あるいは無意識のうちにしていたのが「捨てる」ということだったとのこと。

自分の中の「常識」を、そして目の前に落ちている「千円札」を、いくつ捨てることができるか、誰か一人でもこの本がそのきっかけとなることが著者の願いであると書かれている。

この本で私が特に気に入っている一つをまとめてみた。

〇「アリ」と「キリギリス」しかいないと思っている人があまりにも多い

「アリとキリギリス」は有名な童話である。コツコツ勤勉に働く倹約家の「アリ」と、毎日歌って遊んで暮らす浪費家の「キリギリス」。アリは蓄えのおかげで厳しい冬を乗り越えるが、遊んでいたキリギリスは飢えて死んでしまうという話である。

毎日地道に働いた者が最後には勝つという教えだが、現実には、コオロギもスズムシもマツムシも、色々な虫がいる。その中には蓄えは少ないけれど、歌って楽しく過ごすことで厳しい冬を生き抜く力を得ている虫だっているはず。という一節。

新たな視点であり、本当に面白い。「毎日地道に働いた者が最後には勝つ」というのは誰しもが心のどこかに持っている考えだと思う。特に倹約家派で自分は努力していると思っている人はそうだと思う。だからユーチューバーという職業は世間で楽して稼ぐなんて、、、のような白い目で見られているのだろう。(笑)

私は毎日楽しくやりたいことをして生きていく人生にしたいと心から思う一方で、心のどこかでそんな人生は実現できるはずがない、そんなに人生は甘くないと思っていた。この考えに出会い「きっと賢くて冬を生き延びるキリギリスもいる。それを目指せば良い。人それぞれ生き方があり、正解なんてなくて、自分で選択して良い。たった一度の人生、理想の人生を作り上げて良い。」と心から思うことができた。

本書の最後は「リスクのない人生などこの世には存在しない。」という言葉で締めくくられている。

みんなが共通認識で安定としている職業・人生の形がある。しかし人生何があるかわからない。安定な選択肢なんてそもそもないのだ。だからこそ、自分の思考力・判断力を磨くことが大切で、「捨てる勇気」を持ち、考えをアップデートし続ける。そして自分の人生と真剣に向き合い、他人ではなく自分にとって何がリスクかを明確にし心の赴く方向へ突き進むことが良いのではないか、というのが本書から学んだ私の現時点での結論である。

この本は「お金」「時間」「仕事」「恋愛」など、人生の軸となる全ての価値観を見つめ直すきっかけとなり、きっと「捨てる勇気」「成長」を与えてくれる。誰もが一度は読んでみてほしい。

愛読本について自分なりの考えをまとめながら、私の読書愛がまたまた爆発してしまった。著者の届けたい思いをまさに受け取ったと感じる瞬間が読書をしていて熱くなるときであり、尊敬する人とパッションを共有できることが読書の魅力であると強く思った。

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